あるいは本でいっぱいの海

Or All the Seas With Books

主に書評ブログ。本、音楽、映画について書きます。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

巻き戻しの海を(『醒めない』その2 スピッツ)

前回に引き続き、スピッツ『醒めない』の感想の後半です。 8. ハチの針 前曲のアウトロから少し間をおいて、この曲は始まります。 ハチミツではなくハチの針。カタカナ表現でちょっと可愛い気のあるタイトルですが、いたってクールな曲調です。 歌詞はという…

ロック大陸の物語(『醒めない』その1 スピッツ)

スピッツの15thアルバム『醒めない』についてのレビューです。 1. 醒めない アルバム同題曲で、アップテンポな曲です。 ボーカルの草野さん、そしてスピッツというバンドとしての軌跡と、音楽への情熱を明るく歌い上げています。 この「醒めない」という曲は…

奇妙な親孝行(『二人がここにいる不思議』レイ・ブラッドベリ)

ブラッドベリの短編集『二人がここにいる不思議』(新潮文庫)の表題作です。 恋愛小説を思わせるような美しいタイトルですが、この物語における「二人」とは主人公の両親のことです。主人公の「おれ」が、既に亡くなっている両親をレストランに招待する話な…

心の崩壊と宇宙の誕生(『ゴルディアスの結び目』小松左京)

この小説のタイトルであり、重要なモチーフである「ゴルディアスの結び目」とは下記のような意味を持つそうです。

毒虫になった男の話(『変身』フランツ・カフカ)

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫になっているのを発見した。 この有名な出だしから始まる小説はフランツ・カフカの『変身』です。

真の冒険家の話(『緑の扉』O・ヘンリ)

「緑の扉」はO・ヘンリ作の13ページ(新潮文庫 O・ヘンリ短編集(一) 大久保康雄訳より )の短編で、「真の冒険家」ルドルフ・スナイダーの物語です。 冒険家とは言っても、大海原を航海するでもなければ、人類未踏の地へ行くわけでもありません。彼の冒険の舞…

人間とは何か(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック)

映画「ブレードランナー」の原作である、フィリップ・K・ディックの長編SF小説。 まず特筆すべきなのは、そのタイトルの素晴らしさ!ディック作品では「流れよわが涙、と警官は言った」と並ぶ良タイトルだと勝手に思っています。SF作品、その中でも海外の作…

メイキング・ショートショート(『できそこない博物館』星新一)

星新一さんのエッセイの中でも特にお気にりの一冊。千編以上のショートショートを書いてきた著者自らがその創作メモ、ボツになった作品について紹介し、考察・解説していくというファンにとっては非常に嬉しいエッセイ集です。