あるいは本でいっぱいの海

Or All the Seas With Books

主に書評ブログ。本、音楽、映画について書きます。

揺らいだものも多数(『ゆるぎないものひとつ』B'z)

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B'zのバラード曲「ゆるぎないものひとつ」。『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』を見たのですが、その映画の主題歌です。

 

力強いメロディもさることながら、ストレートな歌詞もお気に入りの一曲です。

 

笑いながら別れて 胸の奥は妙にブルー 言いたいことは言えず

出だしのこの歌詞が特に気に入っていて、このモヤモヤした感覚はよくわかります。何も進まないまま一日が終わるなんていう、まるで今年のGW連休のようです...

 

ゆるぎないものひとつ抱きしめたいよ

誰もがそれを笑ったとしても

 

「ゆるぎないもの」とは何か、もちろん人それぞれ違うことは間違いありません。ヴォーカルの稲葉さんは何かのインタビューで「ゆるぎないものはB'z自身」と言っていた記憶があります。

 

新型コロナの影響で、個人から社会のレベルまで、いろいろなものがゆらぎつつある気がします。今年の初めと今では生活スタイルや働き方など大きく変わってしまいました。個人的にも「ゆるぎないもの」を再構築しないといけない気がしています。GWの連休中も、規則正しい生活をしていましたが、気持ちの面ではかなり緩んでしまいました。(笑)前向きに取り組んでいきたいと思います。

 

期間限定で、B'z公式チャンネルが過去のライブ動画を大量にアップロードしています。

ゆるぎないものひとつ』が収録されているアルバム『MONSTER』のライブも公開しています。

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非常事態ってやつも歓迎です(『ニシヘヒガシエ』Mr.Children)

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ある意味緊急事態宣言のおかげ?で、ミスチルYouTube公式チャンネルで懐かしいPVが続々と解禁されています。

 

ライブでも定番の一曲で、中盤のダークな曲のブロックでよく演奏される印象です。ライブでは2番の「この指とまれ」のところが特に盛り上がります。

 

ミスチルの同系統のシングル曲といえば「マシンガンをぶっ放せ」、「光の射す方へ」、「掌」、「フェイク」などでしょうか。

 

PVでは、歌詞に出てくる天使と悪魔になぞらえてか、音楽番組の中で、1番はビートルズ、2番は1970年代のロックバンドのパロディが演奏します。ブラウン管テレビと、皮肉っぽいジョークを言う司会者が不気味に映ります。

 

張り付けの刑になったって 明日に向かっていきてくんだって

たたじゃ転びやしませんぜって 非常事態ってやつも歓迎です

ニシヘヒガシエ

 

「張り付けの刑になったって」、「抗鬱剤をちょうだい」、「愛だ恋だとぬかしたって 所詮は僕等アニマルなんです」と、トゲのある言葉が目立ちます。しかし、歌詞全体としては意外とポジティブです。

 

「ニシヘヒガシエ」というタイトルを聞くと、なぜか宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出します。詩の中でも東西南北に駆け回る内容があります。また、どちらも共通して「慾」の無さを感じます。「ニシヘヒガシエ」では、生きることへの欲求以外の着飾った部分は全て振り捨て、必死で前へ進もうとしているようにみえます。

逆未知との遭遇(『もたらされた文明』星新一)

「悪魔のいる天国」(新潮文庫)収録のショートショート

 

舞台はとある星・ピル星。調査隊を乗せたロケットがついに帰ってきました。予定よりも遅くなった調査隊の帰還を、ピル星の住民たちはを固唾を飲んで見守ります。乗員たちの努力の結果、ロケットは無事に着陸しました。

 

調査隊員は、彼らが見てきた珍しい星について語ります。

 

一番印象に残った星に「地球」という星がありました。「地球」で接した奇妙な風習について語る。

地球人たちは、「カギ」というものを使い、他人が勝手に家に入って勝手に家の物を持ち出していくことを防いでいる、というのである。たしかに自分で頑張って働いたお金で品物を買うよりも、他の人の物をラクである。まさかそんなにうまい方法があったとは。。。

 

先日、アメリカ国防総省が撮影したUFOの映像を公開した、というニュースがありました。その真偽や公表した理由はわかりませんが。

 

www3.nhk.or.jp

 

SF作品などに登場するUFOの目的といえば、宇宙人が地球の偵察や侵略をするためです。おそらくははるか遠くの宇宙から来ている訳なのだから相当な科学技術を持っているに違いありません。

「人類史における科学の発展は争いとともにあった」とも言われますが、はたして犯罪や戦争などとは無縁のまま選択肢はあったのでしょうか。

 

地球も気づかないところで、どこかの星に大きな影響を与えている可能性もあり得ますね。

世の中知らない方が良いこともたくさんあるとは思いますが、少しだけ真相が気になります。

 

喉元過ぎれば(『味ラジオ』星新一)

「妄想銀行」(新潮文庫)収録のショートショート

放送局から配信される特殊な電波によって口の中の神経を刺激することで、 味のしないものを食べているときにも、様々な味を人々にもたらしてくれる「味ラジオ」。

テレビやラジオの番組表のように、スケジュールに沿って配信される味も切り替わります。味については不自由のないため、栄養を摂取するための食事と、味を楽しむための食事は切り離されています。人々は、栄養の摂取は味のしないパンを食べることで補います。

 

味ラジオで味わった料理の「本物」を飲食するためのレストランもまだ残ってはいます。しかしそれは、本物の食感や気になった味の実物を食べてみたい、という好奇心を満たすための位置付けです。

 

誰もが当たり前のように配信されるいろんな味を楽しんでいる際中に、ある異変が起こりました。なんの味もしなくなったのです...

 

「味ラジオ」という一種のインフラが失われた時やその復旧後、人々にどんな影響が生じるのか。

 

気軽に電車に乗ったり外食したりなど、今まで当たり前だったこともできなくなった今日ですが、元の生活に戻った時はどうなるのかは気になります。元に戻るのがいつで、そもそも以前と全く同じ状態に戻ることができるのかどうかはわかりませんが。。

 

味ラジオの便利さと相まって、作中の「異変」後の描写には怖さを感じます。「味」でないにせよ、なくなった時作中と同じ状況になるものはたくさんあり、これからもきっと増えていくに違いありません。

収束の日はいつか(『復活の日』小松左京)

 連日ニュースとなっている新型コロナウイルスによるパンデミック。個人ではできる限りの情報収拾と対策はしているつもりですが、罹患するのも時間の問題なのかと不安な気持ちが日に日に強くなっています。

 

こんな状況で思い出すのは、ハルキ文庫出版の小松左京の長編「復活の日」。奇しくも1964年の東京オリンピックの年に発表されたこの作品は、スパイによって最近研究所から漏洩した新型ウイルスによって、南極にいた1万人あまりの人々を除いた人類が滅亡してしまう、というSF小説です。

 

1969年2月はじめ、イギリスの細菌研究所で生物兵器として研究されていたMM-88菌がスパイによって持ち出されます。MM-88の由来はMartian Murderer(火星の殺人者)から来ており、宇宙から採取した物質に付着していたウイルスをもとに研究を重ねた結果、強力な生物兵器としての特性を持つようになった88代目のものです。

そして、スパイがMM-88を運ぶ小型飛行機がアルプスの山中に墜落してしまいます。やがて、春になると、雪解けとともにMM-88は地球上で猛威をふるい始めます。

世間では新型インフルエンザ「チベット風邪」と思われていた感染症によって、人々は次々と心臓発作で亡くなっていきます。飛沫感染接触感染といった、MM-88の感染拡大の方法は書かれていないものの、理不尽なほど凶悪な感染力です。

MM-88は分離することもできないまま、夏には南極にいる1万人を除いた人類は滅亡しました。
絶望的な状況の中、南極に残された人類は、「復活の日」を迎えることができるのか。人類存亡をかけた戦いが描かれます。そして、この小説における戦いの最後には、人類の歴史と科学の発展に対する皮肉も込めれらています。

 

新型コロナウイルスが収束するためには、もはやワクチンが開発されるか人口の大多数が免疫を持つようになるまで待つまでしかないのでしょうか。パンデミックがいつ、どんな結末となるのかは分かりませんが、少しでも早く収束に向かって欲しいものです。