あるいは本でいっぱいの海

Or All the Seas With Books

主に書評ブログ。本、音楽、映画について書きます。

Life Is an Open Door(『掟の門』フランツ・カフカ)

『カフカ短編集』(岩波文庫)に収録されている短編です。たった4ページの物語ですが、寓意性が高く様々な解釈ができます。 あらすじは以下になります。 掟の門前に門番が立っていた。一人の男がやって来て、入れてくれ、と言うが、門番は今はダメだという。 …

選択は想像である (『選択の科学』シーナ・アイエンガー)

これは「選択」に関する本です。 原題は"The Art of Choosing"で、直訳すると「選ぶというアート」となります。また、artという単語には技巧、技、腕といった意味もあるようです。 ジャムの研究 著者シーナ・アイエンガーさんは「ジャムの研究」で有名な方だ…

奇妙な親孝行(『二人がここにいる不思議』レイ・ブラッドベリ)

ブラッドベリの短編集『二人がここにいる不思議』(新潮文庫)の表題作です。 恋愛小説を思わせるような美しいタイトルですが、この物語における「二人」とは主人公の両親のことです。主人公の「おれ」が、既に亡くなっている両親をレストランに招待する話な…

心の崩壊と宇宙の誕生(『ゴルディアスの結び目』小松左京)

この小説のタイトルであり、重要なモチーフである「ゴルディアスの結び目」とは下記のような意味を持つそうです。

毒虫になった男の話(『変身』フランツ・カフカ)

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫になっているのを発見した。 この有名な出だしから始まる小説はフランツ・カフカの『変身』です。

真の冒険家の話(『緑の扉』O・ヘンリ)

「緑の扉」はO・ヘンリ作の13ページ(新潮文庫 O・ヘンリ短編集(一) 大久保康雄訳より )の短編で、「真の冒険家」ルドルフ・スナイダーの物語です。 冒険家とは言っても、大海原を航海するでもなければ、人類未踏の地へ行くわけでもありません。彼の冒険の舞…

人間とは何か(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック)

映画「ブレードランナー」の原作である、フィリップ・K・ディックの長編SF小説。 まず特筆すべきなのは、そのタイトルの素晴らしさ!ディック作品では「流れよわが涙、と警官は言った」と並ぶ良タイトルだと勝手に思っています。SF作品、その中でも海外の作…

メイキング・ショートショート(『できそこない博物館』星新一)

星新一さんのエッセイの中でも特にお気にりの一冊。千編以上のショートショートを書いてきた著者自らがその創作メモ、ボツになった作品について紹介し、考察・解説していくというファンにとっては非常に嬉しいエッセイ集です。