あるいは本でいっぱいの海

Or All the Seas With Books

主に書評ブログ。本、音楽、映画について書きます。

犬は勘定外 感想 英国的ユーモア(『ボートの三人男』ジェローム・K・ジェローム)

 「ボートの三人男」ジェローム・K・ジェローム丸谷才一訳(中公文庫)です。表紙には書かれていませんが、「犬は勘定に入れません」という副題を持っています。

 

 本作のオマージュ作品、コニー・ウィリス犬は勘定に入れませんーあるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎ー」は以前読んだことがありました。

 

 「犬は勘定に入れませんーあるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎ー」では犬はもちろんのこと猫も重要な役割を果たします。しかし、本家「ボートの三人男」においては、犬は比較的勘定には入っていないと感じました。(あくまで比較的であって、今作で登場する主人公の飼い犬・モンモランシーは重要な登場犬です。旅の途中では、彼が大暴れするシーンなどの見せ場もいくつかあります。)

 

 あらすじはいたってシンプル。

 最近どうも気分がすぐれない”ぼく”が、休息と気分転換のために、二人の友人(ジョージとハリス)と飼い犬モンモランシーとともに、2週間のテムズ川の旅に出るのです。その旅の様子を、当時の英国の地理や歴史、文化を交えながらユーモアと皮肉たっぷりに描いています。 

 

 英国の地理や歴史に関する知識がないまま読んだのはもったいなかったとの後悔もあります。詳しい人が読めばさらに楽しんで読めるのではないでしょうか。

 いまいちわからない部分もありましたが、のんびりとした楽しい時間を味わうことができました。